工作機械は正確に働く。
そりゃそうだ。日本を代表するメーカーでそう作られている。
じゃないと0.01ミリ手前で止めるなんて怖くてできない。
でも機械を正しく動かしても狙った寸法、結果にならない時もある。
幾度唇を噛んで天井を見上げたことか。
でもなぜって？
それは鉄が生きているからだよ。
溶鉱炉で鉄鉱石を溶かして作られた鉄は機械で削ると
貴婦人のような美しさを醸し出す。
でもデリケートで、温度変化で伸びたり縮んだり、削る順番を間違えるとすねて歪んだりする。まさしく… 貴婦人？ いや生きている。
私は一生鉄の機嫌を損ねないように慎重に扱いながら
ここで生きていくんだろうな。
でもそれも悪くない。
さぁ、今日もハンドルを握ろう。
嫌われないように。